
Franka Robot Arm を用いたリアルタイム Sim-to-Real 制御の実装と技術検証

はじめに
株式会社アマテックでは、
Franka Robot Arm を用いたリアルタイムロボット制御技術の開発を行いました。
本記事では、
NVIDIA Isaac Sim / ROS 2 / エッジコンピューティング を組み合わせた
Sim-to-Real(Simulation to Reality)制御アーキテクチャについて、
実装視点で技術的な内容を解説します。
Franka Robot Arm を用いたリアルタイム制御
本検証では、
Franka Robotics 製 7-DOF Robot Arm(Franka Emika)を使用しました。
Franka Robot Arm は、以下の特長を備えています。
- 高精度トルクセンサを備えた関節構造
- 外乱に強い制御特性
- 研究・実証用途で柔軟に扱える制御インターフェース
これらの特性により、
Sim-to-Real 技術の検証に適したロボットアームとなっています。
目標座標オブジェクトを用いた追従型制御
本構成では、
シミュレーション空間上に配置したキューブ形状の目標座標オブジェクトを用いて
ロボットアームを制御しています。
このキューブはシミュレーション上で自由に移動可能であり、
- 目標オブジェクトの位置情報をリアルタイム取得
- ロボットアームが目標座標を追従する形で動作
という制御方式を採用しています。
操作者は目標オブジェクトを動かすだけで、
ロボットの挙動を即座に変更できます。
本方式の特長
- 目標位置を数値入力する必要がない
- 動作確認や調整を直感的に行える
- シミュレーションと実機の挙動差をその場で確認できる
NVIDIA Isaac Sim を用いたシミュレーション設計
シミュレーション環境には NVIDIA Isaac Sim を採用しました。
Isaac Sim は、
- GPU ベースの物理演算
- フォトリアルな 3D 表現
を備えたロボットシミュレーターです。
本検証では、以下の点を重視してシミュレーションを構築しています。
- 実機と同等条件での物理挙動再現
- 関節可動域・干渉判定を含む正確なモデリング
- シミュレーション状態と実機状態の同期
制御と直結する 実運用前提のシミュレーション環境として設計しました。
ROS 2 による Sim-to-Real リアルタイム制御
シミュレーションと実機を接続するミドルウェアには ROS 2 を使用しています。
ROS 2 を採用した理由は以下の通りです。
- リアルタイム制御への対応
- ノード分離による高い拡張性
- 将来的な多ロボット・異機種連携への発展性
Isaac Sim 上で生成された制御データは ROS 2 経由で配信され、
ロボット実機をリアルタイムに制御しています。
NVIDIA Jetson を用いた制御環境構築
制御用コンピューティングプラットフォームとして NVIDIA Jetson を使用しました。
当社では以下を一貫して対応しています。
- Jetson の初期セットアップ
- OS / CUDA / ROS 2 環境構築
- 制御用途に合わせたパフォーマンスチューニング
- カスタムコントローラの実装
エッジ側でのリアルタイム制御と
シミュレーションとの高速通信を両立する構成を実現しました。
カスタムコントローラによる制御最適化
本検証では、汎用的な制御構成ではなく
用途に合わせたカスタムコントローラを実装しています。
対応内容は以下の通りです。
- シミュレーションと実機の制御周期差の吸収
- スムーズな軌道補間
- 実機特有の挙動を考慮した制御調整
これにより、
Sim-to-Real における挙動のズレを最小限に抑えた制御を実現しました。
技術適用事例:国際ロボット展でのデモ展示
本技術を応用し、
International Robot Exhibition(国際ロボット展) にて
Sim-to-Real 技術のデモ展示を実施しました。
Isaac Sim 上で生成・更新される目標座標に対して、
ロボット実機がリアルタイムに追従動作を行う様子を展示し、
- 仮想空間と実機が同期して動作する
- Sim-to-Real 環境を来場者が直感的に理解できる
デモを実現しました。
当社の調査範囲においては、
Isaac Sim からロボット実機をリアルタイム制御する展示事例は国内では多くありません。
本展示は、
Sim-to-Real 技術が実運用レベルに近づいていることを示す
一つの技術事例であると考えています。
今後の展望
計算基盤の多様化
NVIDIA Jetson に加え、
- 産業用 PC
- 高性能ワークステーション
- GPU 搭載サーバー
など、用途に応じた計算基盤を組み合わせ、
現場要件に応じた柔軟なロボット制御構成を検討していきます。
オフライン前提のエッジ AI ロボット制御
本技術を応用し、
- ネットワークに依存しない
- オフライン環境で動作可能な
- エッジ AI を活用したロボット制御
への展開も視野に入れています。
製造現場や閉域ネットワーク環境、
高い情報機密性が求められる環境においても
安定して動作するロボット制御システムの実装を目指します。
多ロボット・他機種・将来的なヒューマノイドへの展開
本構成は、
- 他メーカーのロボットアーム
- 複数台ロボット制御
- 将来的なヒューマノイドロボット
への展開を前提とした設計です。
アマテックでは今後も、
NVIDIA Isaac Sim × ROS 2 × フィジカル AI を軸に、
現場実装を見据えた Sim-to-Real 技術の検証・開発を行っていきます。
技術に関するご相談
- Sim-to-Real 技術検証
- ロボット制御 PoC
- 展示・デモ用システム構築
など、技術的なご相談がありましたら お気軽にお問い合わせください。